『八王子の月見草』 バックナンバー[2010年01月27日]最初から読みたいという方のお問い合わせが多かったので、 バックナンバーだけをリンクさせました。 皆さん、本当にご愛読ありがとうございました。
第1草 『倉橋という男』 |
『八王子の月見草』 第42草(最終回)[2009年01月29日]
トモリーヌが辞め、 他のイブプロメンバーはやる気をなくしていた。 ラキアーヌがぼそっと言った。 「そろそろメンバーを探さないとな・・・」 葵が返す。 「うん。そうだね。。 でもトモ以上のベーシストが他にいるかしら?」 「きっといるよ。。 とにかく動かないと、ココから先には進めないんだ!」 「そうね。。」 ################
しかし、メンバーは見つからなかった。 何人か候補は現れたが、 音を合わせた時点で、しっくりくるベースがいなかったのだ。 葵はふとつぶやいた。 「もう、終わりにしようか。。」 ラキアーヌが同意した。 「うん。。そうしようか。。」 カワシーヌが重い口を開いた。 「シオドキ。。。。か。。。。」 そんなことを話ながら、日々は颯爽と流れていった。。
そんな中、マドリーヌは新進気鋭の アーティストとして世間を騒がせていた。 オリコン第一位、レコード大賞最優秀新人賞、 紅白初出場、等、輝かしい歌手道を 歩んでいたのだ。 同じ事務所の古藤克也も同様に売れていた。 ・・・一方、倉橋はというと、 葵を励ましながら、無難に働いていた。 そんな中、葵と倉橋はデートを重ねていき、 徐々に葵は倉橋に惹かれていった。 そして、 ある日ふたりが『クラセオ』に行った帰り際、 倉橋は葵にプロポーズをした。 「少し、いや、だいぶかな、 年が離れているけど、 葵ちゃんのすべてを愛しているんだ。 そして葵ちゃんといると 何よりも僕自身が幸せを感じることができるんだよ。 僕と結婚してください。 絶対に悲しまさせたりはしない! 約束する!約束します。」 「・・・・・」 「あっ、返事は今じゃなくてもいいんだ。 よく考えて返事をしてね。ね?」 「倉橋さんの気持ちはしっかりと受け止めました。 また、お会いした時に 返事はしますね。」 葵の気持ちは既に決まっていた。 --------------------------- そう、二人は結ばれた。 -------------------------------- 結婚式の日、 マドリーヌ、ラキアーヌ、カワシーヌ、 そして、トモリーヌまで来ていた。 葵は嬉しかった。 そして、天国にいる小夜子に報告していた。 「ママ。。。私はお嫁にいきます。 ママの良く知っている人だよ。 やきもち焼いてるかな? ごめんね、ママ。そして、ありがとう。 こんなに素敵な人とめぐり会わせてくれて。 倉橋さんのことをママが好きになったのが わかった気がするよ。 私は寂しくなんかなかったよ。 みんなが応援してくれたんだよ。 それに、ママがいつも大空の下で 見守ってくれているような気がしてたんだ。 そう、心の中にもいつも、いつもね。。 そうだよね?ママ。」 そして、結婚式が無事に終わった。 ふと、葵はその人に気付いた。 物陰に隠れ、倉橋と葵を見ながら、 不気味に微笑んでいる人影があった。 『誰!?? こっちを見ている。。。』 それは、明美だった。。。
倉橋 ・・・ T.K 葵(子供時代) ・・・ H.Y 葵 ・・・ A 武森 ・・・ H.A 荒井 ・・・ S.N マドリーヌ ・・・ Y.M トモリーヌ ・・・ N.T カワシーヌ ・・・ K.S 小夜子 ・・・ S.C 石山 ・・・ I.H スミレ ・・・ W.K カトレア ・・・ K.R カキツバタ ・・・S.Y 恒川所長 ・・・ T.H 古藤克也 ・・・ S.T 明美 ・・・ M.Y
『八王子の月見草』はフィクションであり、物語に登場する人物、団体、場所等は実際のものとは一切関係ありません。 |
『八王子の月見草』 第41草[2009年01月16日]
「別に何でもない・・・」 「でも・・・」 「でも、気合が入ってない感じだぞ。」 ラキアーヌが言った。 「ごめん、今日は帰っていいか・・・? と言ったトモリーヌはスタジオから出て行ってしまった。 「何か聞いてる?」 「いや何も・・・」 「そう・・・どうしたんだろうね・・・」 この日はリハーサルにはならないので、 みんなそれぞれ帰っていった。
トモリーヌは神妙な顔をしてスタジオに入ってきた。 「みんな!ちょっと話がある。リハーサル終わったらで いいんで、ちょっと聞いてくれ。」 「うん!?何?何?」 葵が興味深々で今聞こうとしていた。 「うん、後でな。」 特にトモリーヌは・・・ そして、リハーサルが終わった。 「お疲れ~」 「ところで、話って?」 葵はとても気になっている様子だった。
「えっ?何?聞こえないよ。」 「俺・・・・俺・・・イブプロ辞めようと思うんだ・・・」 「えーーー!!!????」 全員、とても驚いたようだった。 「何でよ!?」 葵も訳がわからず強い口調で言った。 「親父が倒れんだ・・・けっこう危ないらしい。 それで帰らなければいけなくなった。」 淡々と話すトモリーヌだった。 「えっ!?あっ・・・そう・・・・そう言われちゃうと、 どうしようもないね・・・」
やっぱり家族は俺にとっては大事で・・・ 本当に大事で・・・・ こんな気持ちのままイブプロはできないよ・・・」
葵が寂しそうにつぶやいた。
『八王子の月見草』はフィクションであり、物語に登場する人物、団体、場所等は実際のものとは一切関係ありません。
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『八王子の月見草』 第40草[2008年07月04日]
「はい。」 「あっ、友和か?」 「なんだよ?おふくろ?」 「ちょっとね・・・ まぁ心配はないんだろうけど、お父さんがね・・・」 「なに?親父がどうした?」 「うん・・・ちょっと具合が悪いみたいなの・・・」 「えっ!?どんな風に?」 「大した事はないと思うんですけど、入院したのよ。 「えっ?何だよ!その時に知らせろよ!」 「うん、心配かけたくなかったのよ。 「まぁ、それはそうだけど、大丈夫なのか?」 「しばらくは検査入院だって・・・ でも、安静にしていなきゃだめみたいね。 「あっそうか・・・ありがとう・・・・」 「じゃ、またね。 「うん、じゃ・・」 トモリーヌが電話を切った。 『あんなに元気だった親父が・・・』 トモリーヌは昔を思い出していた。 『よく遊んでもらったな・・・』 すると、もう一度、電話が鳴った。 トモリーヌの妹からだっだ。 「あっ、にーに?」 「おう!」 「お母さんから、電話あったでしょ? たぶん、電話したのはにーににこっちに 戻ってきてもらいたかったからだと思うよ。 でも、バンドが波にのっている時だからって、 気使って、そんな事は言えなかった。 私もお母さんも心配なの。 お母さん、あれでけっこうショックを受けているみたいだし・・・」 トモリーヌは少し黙っていた。 「うん・・・そうだな・・・ でも、こっちもやらなければいけない事がたくさんあるし、 仲間もいる。みんな迷惑かけたくないんだ・・・」 「でも、もう年なんだよ。お父さんもお母さんも。」 「わかってる・・・」 「じゃあ、こっちに戻ってきてよ!家族でしょ!」 『家族』 その言葉がトモリーヌの心に響いた。 「にーに!考えておいてね!」 そう言って妹は電話を切った。 人一倍、家族思いのトモリーヌは本当に悩んでいた。 イブプロか、家族か・・・
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『八王子の月見草』 第39草[2008年06月19日]
マドリーヌはスタジオのある事務所の扉を開いた。 そう、葵と同じ日にマドリーヌも初めてのリハーサルだった。 事務所の名前は、 『明美プロダクション』 「おはよう!マドリーヌ」 それはマドリーヌをスカウトした小森だった。 「さすがね、マドリーヌ。約束の30分前に来るなんて。」 明美プロダクションの社長『田下明美』だった。 「さっそく、歌を聞かせてもらいたいわ。いいわねマドリーヌ?」 「はい、大丈夫です!」 ・・・明美プロダクション・・・ 今売り出し中のアーティスト『古藤克也』が在籍していた。 すると、その古藤克也が事務所に入ってきた。 「君がうわさのマドリーヌかい? ふーん、うわさどおり綺麗だね♪」 「あっ!古藤・・・さん!おはようございます!」 古藤のいまどきのイケメンだった。 「早く歌を聴きたいなー。 歌ってよー!明美さん!早く歌わせてー!」 「わかったわ・・・さっ、マドリーヌ、スタジオに移動しましょ! この前渡しておいたデモの曲、さっそくだけど試してみて。」 「はい。」 その曲は”Evening Primrose”の曲とは 全然違う明るくてポップな感じの曲だった。 ・・・マドリーヌが歌い終わると、明美が、 「はい、さすがに良いわね。 でも、ちょっと心がこもっていない気がするわ。 ひょっとして、まだイブプロを引きずっている?」 「そんなことないです・・・ただ・・・」 「ただ・・何?」 「今まで歌っていた曲と あまりにもかけ離れているから、 少し戸惑っています。」 「そう?プロならどんな曲でも歌い上げなさい! あなたはもう明美プロダクションのマドリーヌなんだから! もうイブプロの『マドリーヌ』ではないのよ! あーそうねー、名前変えましょうか!?」 そこに古藤が口をはさんできた。 「改名するのはもったいないなー 『マドリーヌ』いい名前じゃない? せっかく定着してるのにねー」 「わっ、わかったわ・・・じゃ少し考えとくわ。 古藤くんのいうとおりかも・・・」 そこでマドリーヌが言った。 「『マドリーヌ』って名前・・・変えていいですよ・・・ いつまでも過去を引きずっていられないし・・・」 「そう?じゃ、またその件はまた後でね。」 マドリーヌは少し悲しそうな表情でうなづいた。
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