『八王子の月見草』 第16草[2006年12月22日]
第16草 ”衝撃”
クラセオに入ってから既に2時間も経っていた。
店を出ようと倉橋はレジに向かった。
すると、ヒマワリが言った。
「倉橋さん!ここは割り勘で!」
「ううん!とんでないよ~レディ~に払わせるなんて。」
「いいから、いいから!」
と、ヒマワリがおもむろに自分の財布を開いた時、
ひらひらと一枚の写真が落ちた。
「あっ、なんか落ちたよ。」
倉橋が言った。
ヒマワリが慌てて拾い上げて何気なく見てみると、
その写真には倉橋らしき人物が写っていた。
『あれっ!?
写真の方がちょっと若くてわからなかったけど、
ママの隣に写っているのもしかして・・・・
倉橋・・・さん・・・』
心の中でヒマワリはつぶやいた。
『全然、気付かなかった・・
まさかこの人が・・・
ママの付き合っていた人・・・』
ヒマワリが考えている間に倉橋は金を支払っていた。
クラセオを出た時、ヒマワリが思い切って尋ねてみた。
「ごちそうさまでした!とっても美味しかったです!
・・・あの倉橋さん・・
ちょっと聞きたいことがあるんですけど。」
「なにかな~?」
「あの・・・間違ってたらごめんなさい・・・
もしかして・・・『小夜子』って人知ってます?」
「ん!?小夜子!?」
倉橋は何で小夜子の事をヒマワリが知ってるのだと思った。
「何で!?何で?小夜子の事を・・・?」
「やっぱり知ってたんですね・・・これ見て下さい・・・」
ヒマワリは小夜子と倉橋が写っている写真を見せた。
「何で?ヒマワリちゃんがこれを・・?」
「ヒマワリは感じで書くと『向日葵』。
私の本当の名前は葵。
この人は・・・この人は・・・私の母です・・・。」
倉橋に衝撃が走った!
ヒマワリが何を言っているのか理解できなかった。
「え・・・!?・・・何を・・・ヒマワリちゃん?
葵ちゃん?本当に小夜子の子供なの・・・?」
「そう・・・本当の娘です。」
「まさか、小夜子にこんな大きな娘がいたなんて・・・
知らなかった・・・」
「母はあの日・・・そう天国に行ったあの日・・・
倉橋さんに私がいることをちゃんと話そうとしていたんです。
それなのに・・・・
でも今考えても母は、
倉橋さんをとても愛していたと思います。
家ではいつも倉橋さんのことばかり話していたんですよ。
私はまだ幼かったからよくは憶えてないんだけど、
倉橋さんの話の時はとても楽しそうだった・・・」
「・・・ずっと僕も思っていたんだ・・・
小夜子に似てるって・・・
まさか本当に小夜子の娘だったとは・・・」
思いつめた表情で葵は倉橋に尋ねる。
「ママの、ママのお墓はどこにあるんですか?」
「そうか・・知らないんだね・・・
小夜子のお墓は八王子霊園の片隅にポツンとある。
小夜子はそこで眠っているんだ。」
「今度の休みの日に連れて行ってもらえませんか?」
「ああ、もちろんだよ。」
つづく・・・
『八王子の月見草』はフィクションであり、物語に登場する人物、団体、場所等は実際のものとは一切関係ありません。
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次回予告
小夜子の墓の前でいったい!?
ある事を知った倉橋はまた衝撃をうける!!
次回の『八王子の月見草』は・・・
”告白”
お楽しみに!
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『八王子の月見草』 バックナンバー
第1草 『倉橋という男』
第2草 『次の店』
第3草 『深い事情』
第4草 『楽しい日々』
第5草 『美味しい料理』
第6草 『プレゼント』
第7草 『謎の女』
第8草 『傷』
第9草 『過去』
第10草 『煙草』
第11草 『約束』
第12草 『永遠に』
第13草 『顔色』
第14草 『リザローブ』
第15草 『アフター』





