『八王子の月見草』 第13草[2006年12月01日]
第13草 ”顔色”
『私が葵を育てようと決心したのは、
あの人の子供だから・・・
何も小夜子への償いからではない。
あの人を忘れたくても忘れられないでいる。
だったら、一生忘れないで私の心の中にしまっておこう。
あの人の過ちで小夜子が妊娠をして、
それを知ったあの人は私に別れを告げた・・
悲しみはすぐに消えるけど、憎しみはずっと消えない。
憎しみからは何も生まれては来ないって事は
解っているのにね・・・
そうよね・・・石山さん・・・・』
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あれから12年・・・何事もなかったような日々が続いていた・・・
倉橋は相変わらず仕事が終わると飲み歩いていた。
「よ~し!終わった!じゃ~行くか?ちがうか?やっぱ行くか?」
「も~しょうがないな~倉橋さんにはかなわないですよ!」
そう答えたのは東長だっだ。
「じゃ~ぼくも行きます。武森さんもですよね~?」
続いて、荒井が言った。
「行きますかっ!」
武森も待ってましたと言わんばかりに声をあげた。
倉橋 「今日はどこに行こうか~?」
東長 「リザローブでいいんじゃないですか?」
倉橋 「おっ!リザローブ!そこ行こう!」
武森 「でも、食べ物高いから何か食ってきましょうよ。」
東長 「OKです。じゃ~辛次郎で!」
荒井 「行きましょう!」
居酒屋の『辛次郎』に入り、
1時間ぐらい経ったくらいかみんな酔いが回ってきた頃、
ふと東長が尋ねてきた。
「倉橋さ~ん、この前言ってた深い事情ってなんすかっ?」
「えっ!あれ!?気にしない、気にしない!」
倉橋は、何を言われても気にしないことにした。
もう、小夜子は帰って来ないのだから・・・
「さぁ~!もうそろそろ出ますか!次、次っ!」
と言った倉橋の顔色はあまり良くはなかった・・・
つづく・・・





