『八王子の月見草』 第11草[2006年11月22日]
第11草 ”約束”
葵は胸騒ぎがしていた。
虫の知らせか葵は家を飛び出した!
小夜子の行き先などは知らなかったが、
とりあえず駅の方へ走っていった。
「ママ~!ママ~!」
葵は走った。小夜子を探しに一生懸命に走った。
ふと、葵は人だかりを見つける。
もう、八王子駅は目と鼻の先のところだった。
数十人もいた人だかりの中に小夜子はいた。
「ママ!どしたの!ママ!ママ~!!!」
葵は叫びながら、小夜子のもとへ近づいていった。
小夜子は虫の息になっていた。
「あ・お・い・・・ママ・・ごめん・・・」
「ママ!死んじゃやだよ!
明日、お出かけするって言ったじゃん!
春休みはディズニーランドに
連れていってあげるって言ったじゃん!!
4年生になったらお洋服いっぱい
買ってあげるって言ったじゃん!約束したじゃん・・・」
葵は泣きじゃくっていた。
「それとママ!アオイの事、
倉橋さんに打ち明けるんじゃなかったの!?」
「・・・・・うん・・・そうね・・・・」
「だったら行かないと!
行かないとダメだよ!ママ!死んじゃやだよ!」
「・・・葵・・・精一杯生きてね・・・・」
・・・そう言って小夜子は静かに息を引き取った。
泣きじゃくっている葵にふと声をかけてきた女がいた。
「葵ちゃん。だいじょうぶ?」
それは、明美だった・・・
つづく・・・
『八王子の月見草』はフィクションであり、物語に登場する人物、団体、場所等は実際のものとは一切関係ありません。





